2015.05.24更新

一口に内定者といっても一般に,内定者には,採用予定者採用決定者 の二種類があります。

 

採用予定者は,単に採用予定である旨を通知しているだけの場合をいいます。 正式採用決定手続きはまだなされていません。 採用予定者の場合,その後,正式に採用手続きを踏むことを予定しています。そのため,採用予定者は,いまだ労働契約締結前の段階にあるといえ,労働契約の予約がなされているに過ぎません。
採用予定者となった後,通常は,必要書類の提出や入社日の通知,入社前教育の開始など,会社の採用確定の意思表示といえるような行為があれば,それによって労働契約の予約が完結したといえ,正式に労働契約の成立があったと解されることとなります。 これ以降,内定者は採用決定者となります。



これを前提に内定の取消しが可能なのか検討します。 採用予定者については,いまだ労働契約は成立していませんので,内定を取り消しても解雇にはなりません。 ただし,会社と採用予定者との間には,労働契約の予約が成立していると考えられるので,不当な理由で内定を取り消した場合,会社は,予約契約の不当破棄ということで民法上の不法行為責任を負うことになります。



採用決定者についてはどうでしょうか。 採用決定者については既に予約契約が完結し,会社と労働契約が成立しています。 ただ,労働契約といっても通常の労働契約と異なります。まだ,内定者は,会社に入社していませんから,労働契約といってもこの場合は,始期が先でかつ一定事由が生じた場合には,会社が労働契約を解除できる特約のついた労働契約ということになります。 では,どのような場合に会社は解約権を行使して労働契約を終了させられるでしょうか。 通常は,内定の段階で会社が内定者に通知した採用内定通知書や内定者から提出してもらった誓約書に記載されている内定取消事由を参考に考えます。ただ,この採用内定通知書や誓約書には漠然としたことしか記載されていないことが多いです。この場合,どのように考えるかですが,最高裁判所の判例では,解約理由は「客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られる」(大日本印刷事件)と判断されています。また,この最高裁判所の判例が出た後の東京地裁の裁判(宣伝会議事件)では,内定の取消事由は,使用者が採用決定後における調査の結果により,当初知ることができず,また知ることができないような事実を知るに至った場合において,そのような事実に照らし内定者を雇用することが適当でないと判断することが,解約権留保の趣旨,目的に照らして,客観的に相当であると認められることを要すると判断しています。

 

会社の労働問題についてお問い合わせがある場合、
こちらからご相談いただくか、
044-200-9966までご連絡ください。

投稿者: アビーム法律事務所

2015.05.24更新

内定通知書を会社が送付していた場合を前提にします。内定の取消の理由は,採用内定時には会社が知ることができず,また知ることが期待できないような事実である必要があり,またその理由が客観的に合理的と認められる社会通念上相当をして是認することができるものに限られます。

 

刺青については,仮に背中全体に彫ってあり,どう見ても暴力団関係者であったと誤認される可能性の高いものであれば採用取消もやむを得ないと思われます。 しかし,例えば,二の腕に刺青がある場合のように,単なるファッションの場合は,そう簡単に取消すことは難しいと考えられます。二の腕の場合,スーツなどを着れば他人が目にすることはありませんし,刺青をする若者も増え,刺青をファッションとして彫ること自体,さして珍しいものではないからです。

 

あまり目立たない場所に,小さな刺青がある程度で内定を取り消す場合は,相応の賠償義務が発生すると考えた方がいいでしょう。

投稿者: アビーム法律事務所

2015.05.24更新

協調性欠如のないようにもよるかと考えますが,例えば,研修内容を批判する,グループ討議に参加しないという場合について考えてみます。

 

やはりこの場合も,客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができる理由がある場合に限り内定を取り消すことができます。
そして,通常は,研修内容の批判やグループ討議に参加しないというのみで社会通念上相当として是認することができる理由があるとまではいえないでしょう。

 

したがって,このような場合に内定を取り消すことはできないでしょう。

投稿者: アビーム法律事務所

2015.05.24更新

試用期間とは,本採用の前に行われる適格性判定のための試しの期間をいいます。試用期間経過後に本採用しなくていいのかという問題は,別途ご説明したいと思います。ここでは,試用期間を延長できるのかについてご説明します。

 

まず,前提として,試用期間は,就業規則などを内容とする使用者と労働者との労働契約で初めて認められるものです。 そのため,原則としては,会社と労働者で契約上,合意すれば自由に試用期間を定められます。



延長の合意の方法としては,就業規則に延長することができる旨の規定がある場合と会社と労働者とで個別に合意する方法の2つが考えられます。



まず,就業規則に延長できる旨定められている場合ですが,延長に合理的な必要が存在することが必要です。たとえば,試用期間中に急病などにより一定期間労働者が休暇を取った場合などで,試用期間中に実質的な勤務期間が短い場合が考えられます。 次に,会社と労働者とで個別に合意をした場合ですが,この場合には,その合意に際して,真摯に労働者が同意をしているという状況が必要です。会社と労働者との力関係の差からすれば,労働者が会社からの試用期間延長の申し出を断るということはなかなか難しいのが現実でしょうから,心からその労働者が納得して試用期間の延長に合意するということが必要になるわけです。
あくまで,試用期間は,その労働者の適格性を判断するための期間ですので,適格性を判定するために通常必要とされる期間以上を試用期間とすることに合理的理由は見いだせません。そのため,この通常必要とされる期間以上に試用期間を延長する場合には,特別な理由がなければならないと考えるのが自然で,仮に労働者が同意していたとしても,その同意が真摯なものではないと裁判所から判断される可能性が高まります。

 

実際上は,試用期間の延長な何らかの特別の理由がない限り難しいと考えるべきでしょう。

 

なお,試用期間は3ヶ月間としている会社が大半で,1年程度の試用期間を設定している会社は,特別な理由のある場合に限られているというのが実情です。

 

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投稿者: アビーム法律事務所

2015.05.24更新

試用期間中といっても,その労働者と会社との間には有効な労働契約が成立しています。
そのため,試用期間経過後に本採用を拒否できる場合があるといっても,通常の解雇に比べればその労働者を辞めさせられ易いに過ぎません。

 

裁判例からすると,「企業者が,採用決定後における調査の結果により,または試用(期間)中の勤務状態等により,当初知ることができず,また知ることが期待できないような事実を知るに至った場合において,そのような事実に照らしその者を引き続き当該企業に雇傭しておくのが適当でないと判断することが,・・・解約権留保の趣旨,目的に徴して,客観的に相当であると認められる場合」に本採用を拒否できると考えられます(三菱樹脂事件)。

 

ただ,最近,裁判所は,本採用拒否について厳格に判断するようになっており,容易に本採用を拒否できると考えることがはできません。
むしろ,本採用拒否のためには,相当な理由が必要であると考えるべきでしょう。
解雇できるほどの事由までは要求されませんが,それにかなり近い程度の不適格性が必要と考えておくべきです。

投稿者: アビーム法律事務所

2015.05.24更新

高年齢者の知識・技能・経験を生かすこと及び高年齢者が社会の支え手として活躍し続けることを可能とするため,平成16年6月5日に高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律が成立しました。

これにより,平成18年4月1日以降,事業主に対し,65歳までの高齢者雇用確保措置を講ずることが義務づけられました。

具体的には,65歳未満の定年の定めをしている事業者は,その雇用する高年齢者等の65歳までの雇用の確保を図るため,

 

1.定年の引上げ
2.継続雇用制度の導入
3.定年の定めの廃止

 

のいずれかの措置を講ずることが義務づけられています。

これらのうちいずれの措置を講ずるかは,事業者により自由に選択できますので,事業者ごとに最適のものを選択することとなりますが,多くの事業者が2の継続雇用制度の導入を行っているようです。

継続雇用制度を導入する場合,労働組合や労働者の過半数を代表する者との協定により,継続雇用制度の対象となる高年齢者の基準を定めることができます。この基準に合致しない労働者については継続雇用する必要はありません。

ただし,この基準といっても,全く自由に定められるわけではなく,具体性・客観性に欠けるものや労働関連法規または公序良俗に反するような基準は認められません。

投稿者: アビーム法律事務所

2015.05.24更新

従業員の年次有給休暇権(年休権)は,6ヶ月の継続勤務と全労働日の8割以上の出勤という要件を満たすと発生します。

 

では,再雇用した従業員の場合,この「6ヶ月の継続勤務」を再雇用した日から起算して計算すべきなのか,再雇用前の正社員当時の雇用期間も加味して計算すべきなのでしょうか。

 

形式的に見れば,確かに,定年までの雇用契約と定年後の再雇用契約は別個の契約ですから,再雇用した日から起算して継続して勤務した期間を計算すべきと考えることができます。
しかし,厚生労働省の通達によると,「継続勤務とは,労働契約の存続期間,すなわち在籍期間をいう。継続勤務か否かについては,勤務の実態に即し実質的に判断すべきものと」とし,「定年退職による退職者を引き続き嘱託等として再採用している場合(退職手当規程に基づき,所定の退職手当を支給した場合を含む。)」は,実質的に労働契約が継続しているものと扱うとしています。

 

したがって,再雇用した嘱託社員についても定年前の勤務からの「継続勤務」ということを前提に年休の計算をすることが必要になります。

投稿者: アビーム法律事務所

2015.05.24更新

従業員が退職を2ヵ月後の退職を申し出て,会社がこれに応じていたにもかかわらず,その後,従業員から,3ヶ月後に退職したいと退職日の先延ばしを求められたり,1ヶ月後に退職したいとより早期の退職を求めてきた場合,会社はこれに応じなければならないのでしょうか。

 

従業員が退職を申し出て,会社がこれに応じた場合,法律上,労働契約の合意解約の効果が生じます。
合意解約も契約ですので,当事者の一方が勝手に変更できるものではありません。したがって,従業員からこのような申し出がなされても,通常,これに応じる必要はありません。

 

ただし,従業員から退職願いが提出されてから○日を経過したときに退職と扱うというような就業規則を作成している会社が多くあります。
このような場合,上記の退職の申し出とは別途に新たに退職願が提出されるということもあります。この場合,提出されてから○日経過すると退職扱いになってしまうのか,上記の合意解約の効力が優先するのかという問題が生じます。
この点について,明確に述べている裁判例はありません。
従業員には退職の自由もありますし無用なトラブルを防止するという観点からすれば,このような事態になってしまった場合,従業員と十分に協議の上,会社と従業員の都合を勘案して,双方の合意点を探っていくということになるでしょう。

投稿者: アビーム法律事務所

2015.05.24更新

従業員を休職にし,休職期間中病気が回復すればいいでしょうし,もし回復しないようなら解雇を検討するべきでしょう。

 

ただ,会社の命令で休職をさせられるでしょうか。
会社が従業員に休職を命じるためには,就業規則や労働協約等の根拠が必要になります。
就業規則等の根拠がない場合に絶対に休職させられないというわけではありませんが,トラブルとなることも予想されるため従業員と十分に協議の上,自主的に休職を申し出るよう促すのが最良です。

 

休職命令を出す際には,病気休職診断書の提出を求める場合が多いでしょう。
この際,本人や家族に対して,休職期間中の処遇や休職延長制度がある場合にはその手続,健康保険の傷病手当金請求手続等の説明などを行っておきましょう。これで,従業員が安心して休職することができます。

 

休職からの復帰についてですが,復帰の時点で病気が治癒している必要があります。
治癒していれば復職してもらい,治癒していないのであれば,就業規則の規定に従い,解雇するか休職期間満了とともに当然退職ということになります。
ここで,この治癒の程度をどうやって判断すべきかは難しい問題があります。
最近の判例では,元の職務に戻ることは難しいものの,会社の他の職務での復職が可能であるという診断があれば,休職期間の満了とともに解雇することはできず,復職に応じるべきとの判断が増えてきています。
また,従業員の主治医は復職が可能という診断をしているが,会社からみると復職は難しいと思われる事案があります。その場合は,従業員の同意を得た上で,会社と主治医で協議すべきでしょう。会社指定の産業医の診断を強制的に受けさせるためには,就業規則等の根拠が必要ですので,必ず就業規則にその旨の規定を入れておくべきです。

 

精神疾患の従業員に対する対応はデリケートで難しい側面があります。
管理職や同僚の正しい理解も重要ですので,社内で理解が深まるよう研修等の実施も検討すべきでしょう。

投稿者: アビーム法律事務所

2015.05.24更新

交通事故の被害に遭われた方が加害者に対し請求できる損害賠償の主な内容は,以下のものとなります。

 

1.治療費
2.付添看護費
3.雑費
4.通院交通費・宿泊費
5.葬儀関係費
6.休業損害
7.後遺症または死亡による逸失利益
8.慰謝料
9.物損

投稿者: アビーム法律事務所

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